あぶら蟹のすすめ

最近、高いですよね、たらば蟹。
2014年の暮ころから、漁獲量の減少やロシアとの協定の変更が影響して一気に流通が激減。お値段も高騰の一途を辿っています。弊社の販売価格はただいま2kgで2万円。高品質品を追求するとどうしてもこのくらいになってしまうのですが、正直言ってお手頃なお値段とは申せません。

我々もこの状況には頭を痛めておりまして、どうにか美味しい蟹をお安くお届けする術はないかと常づね思いを巡らせておりました。そこでこのたび打ち出しましたのが、「あぶら蟹」の販売です。

しかしこの「あぶら蟹」ですが……、イメージが悪いんですよねえ……。「あぶら蟹」の名をご存知の皆さん、きっと殆どの方が、悪いニュースでこの名を知ったのではないでしょうか。すなわち、タラバ蟹のニセモノ、として。

アブラガニ。タラバガニ科タラバガニ属。タラバガニ科の蟹で一般に流通するのは、ほぼタラバガニ、花咲ガニ、そしてこのあぶら蟹の三種だけに限られます。

その食味や見た目は非常にタラバガニに近く、ほとんど区別がつかないくらいと言ってもいい。もしタラバ蟹だと言われてアブラ蟹を出されれば、私だってまず気づかない自信がございます。「タラバ蟹とアブラ蟹の味の差」より、「タラバ蟹同士の味の個体差」の方が大きいくらいなので……。

つまり文句なく、甘くて見た目も立派で美味しい蟹なんです。にも関わらずお値段は安い。たらば蟹と比べると10~15%程度お安くお届けでき、弊社でも2kgで17,500円送料込みでお届けしています。

要するに良いことずくめの蟹なんですが、では売れ行きはどうかというと、やはりたらばには及ばず。事情に通じている一部の海産物好きにばかり重宝がられている現状です。
アブラガニを知らない人々にとっては、「ヌルヌルしてそうな名前の得体の知れない蟹」、知っている人々にとっては、「ああ、あの偽タラバでしょ?」どちらにせよ結論は、「誰がそんなものを食べたがるの?」

アブラガニという、変な名前。由来も「かにみそがちょっとドロリとして油っぽく見えるからでは?」とか「殻にちょっと艶があって油を塗ったみたいに見えるからじゃない?」とか諸説があってはっきりせず、要するに特に意味もなく、なんとなく美味しくなさそうな名前がついています。

いくつかの不届きな業者によって「たらば蟹」と偽って販売され、それがニュースで大きく取り上げられたことで広く認知されるようになったという、負の歴史。これはただ、「たらば蟹ではないものをたらば蟹と偽った」ことが問題なのであって、あぶら蟹が不味くて劣った蟹だということではないのですが……。

この二つが相俟って、あぶら蟹はとっても過小評価されている蟹となっています。
前回デストロイヤーの紹介をした時も申し上げましたが、こういった埋もれた食材の魅力を広めることも弊社の務め。皆さんにはぜひとも「悪いのはアブラガニではない。アブラガニを使う人間なのだ……」という真実に到達していただきたく、「たらば蟹は好きだがさすがに高額すぎる」とお考えの向きは、どうぞ一度「あぶら蟹」を召し上がってみてください。身入りも甘みも素晴らしいものをご用意しておりますので。